【レビュー】FUJIFILM X20 : フィルムシミュレーションの楽しいスナップシューター

カメラ
X20外観

はじめに

この記事は2016年頃に記事書き始めたけど下書きのまま投稿を忘れていて3年以上たってしまった。
更に買ったのはその2年前なので5年前のものをレビューしてるけどせっかく下書きに残しておいたものだし公開します。
そのため執筆当時の感覚ですのでご了承ください。

概要

VKY-L29 (3.95mm, f/1.8, 1/30 sec, ISO320)
X20外観

もう型落ちして2年になるけど富士フイルムの高級コンパクトデジカメX20のレビューをします。
二年前のちょうどお盆頃、X30が発表される直前で値段がかなり落ちていたので購入しました。
確か5万円丁度で欲しかったシルバーの色は店頭にはなかったが、他店舗から取り寄せということで一週間程度で届いた記憶があります。
正直コンデジ買うつもりはありませんでしたが、特価札がはられていてさらに値引き交渉に成功したので衝動買いしてしまいました。
一応その時比較した機種はよく比べられるSONYのRX100シリーズ、特に値段が近かった初代モデルです。
総合的なパフォーマンスとしてはRX100のほうが高く、コンパクトで高感度強いというコンデジに最適のものでしたが、デザイン的にX20気に入ったのとRX100の方は交渉しても値段が下がらなかったのでX20を書くことになりました。

それから二年、今までCanonの40D(一眼レフ)がメイン機だったのに、出撃数が逆転しました。
どうしても一眼レフでないといけない、APS-Cの画質が欲しい時以外はX20で満足です。
以下自分が使ってきた感じたことなどを下手な作例とともに書いていきます。

特徴

まずはスペック・特徴から

外観

VKY-L29 (3.95mm, f/1.8, 1/30 sec, ISO250)
X20外観2

外観はX10からほとんど変わりなくクラシカルなレンジファインダー風のデザインです。
X10はブラックのみでしたがX20は新たにシルバーが加わり私はこの色を選択しました。
レンジファインダー風なデザインと相まってかなり質感は高いです。

VKY-L29 (3.95mm, f/1.8, 1/60 sec, ISO160)
X20上部

レリーズスイッチの赤いカバーはAmazonで次の商品を買ってつけました。

富士フイルムのカメラはクラシカルなネジ穴が付いているのでカスタマイズができます。

液晶とは別にファインダー(OVF)を搭載しておりズームにも連動します。ただし一眼レフと違いパララックス(視差)のあるビューファインダーですので正確なフレーミングはできません。
このファインダーは昨今のビューファインダーとしては珍しくAFポイントや露出情報の表示ができますので、スナップを撮るぶんには十分で雰囲気が出ます。
ズームもコンデジでは珍しく鏡胴回転によるマニュアル操作です。
RX100よりは一回り大きく、レンズが完全にはボディ側に沈胴しないので出っ張りがあります。
そのせいでポケットに入れて持ち運ぶなど考えたらちょっとつらいところはあります。

2/3インチローパスレスセンサー

撮像素子のサイズは2/3インチです。
この大きさはスマートホンや普通のコンデジよりは大きいけどAPS-Cやm4/3はもとより、RX100に搭載されている1インチセンサーよりも小さいです。
解像感や高感度はどうしても劣ってしまいます。
ただX20ではローパスフィルターレスで通常の同クラスセンサーより高い解像度を持っています。
ローパスレスセンサーでは通常高周波数部分でモアレが出やすいがX-Trans CMOS IIと銘打たれたこのセンサーではRGBのサブピクセル配置を変えることで問題を回避しています。

レンズ

VKY-L29 (3.95mm, f/1.8, 1/30 sec, ISO200)
X20レンズ

35mm換算で28~112mmの4倍、F2.0~F2.8の明るいズームレンズを持っています。
ズームは外観で説明したとおり手動操作で直感的に操作することができます。
レンズの解像度もよく、X-Trans COMS IIローパスレスセンサーと合わせてコンデジとしてはかなり高い解像感です。
レンズ内手ぶれ補正も搭載されておりラフな撮影でも安心して使えます。

使用感

ここ2年使っての使用感など
作例の焦点距離は4倍するとフルサイズ換算の焦点距離になります。

画質

まず一番大事なのが画質ですよね。
これは流石に5万円クラスのハイエンドコンデジ、スナップを撮るのだけでとても納得できる画質の写真が出来上がります。
晴天の下で街中スナップを撮っているととても気持ちのいい写真が出てきます。
ダイナミックレンジ拡張機能のおかげもあって、暗部の粘りもよくコントラストの効いた写真が撮れます。

街中の公園での1枚
望遠端で絞り開放ですがとてもシャープに写っているのではないでしょうか?
大きなセンサーほど背景がぼける感じではありませんが自然な奥行きで立体感が表現されていますね。

X20 (28.4mm, f/2.8, 1/640 sec, ISO100)
X20スナップ

換算80mm程度での近影
ちょっとだけ絞ってあげると十分カリカリでコントラストの映える絵を撮りたくなります。

X20 (18.7mm, f/3.6, 1/1300 sec, ISO100)
X20スナップ2

一方で夜景など暗いところの写真はRX100などに比べて少しきついかなと。
やはりセンサーサイズなりの耐性しかないことを思い起こされます。

個人的には気持ちよく取るにはISO400まで、ちょっと我慢するにしてもISO800が限界でISO1600になると辛いかなと感じています。
RX100のサンプルを見ると高感度の綺麗さに驚きますが、あれに比べると頑張ってるけど越えられない壁を感じます。
下の写真はISO800での一枚ですが、ブログやSNSで見る分にはギリギリ、等倍拡大したらあらが見えちゃいますね。

X20 (7.1mm, f/2, 1/30 sec, ISO800)
X20夜景(ISO800)

とは言えレンズが明るくて開放から十分使える画質なこと、そして手ぶれ補正が思ったより強力に効いてくれて広角側だと1/10秒程度までだったら十分耐えてくれることから多少明かりのあるところだとISO400でも撮れてしまうのでは?

フィルムシミュレーション

富士フイルムのカメラと言えばフィルムシミュレーション!
Canonで言うピクチャースタイル等と同様に、写真の発色等の設定ですが、フジでは実在のフィルムと同様の名前でフィルム時代からのイメージに合った出力にしてくれます。
定番どころではプロビア、ベルビア、アスティアがあって通常で言うところの標準、鮮やか(風景)、ソフト(ポートレート)に相当します。
ポジフィルムを知っている人にはとてもわかり易い名前ですよね。特に風景のベルビアなどが有名ですよね。
通常の高画質なデジタルカメラを使っているとRAWで撮って後からPCでゆっくり現像したくなりますが、X20はフィルムシミュレーションのお陰で逆にJPEGで積極的に撮りたくなるカメラです。

ベルビア

X20でベルビアを選択するとこのような景色が撮れます。
春に能古島で撮った一枚で菜の花の黄色と空・海の青がとても綺麗な風景でしたがとても鮮やかに切り取れている。
富士フィルムがリバーサルのベルビアを記憶色と言っていたことがよく分かる味付けです。

X20 (8.9mm, f/8, 1/480 sec, ISO100)
X20ベルビア1

こちらは秋の紅葉の季節の一枚
ちょっと露出が明るめですが、紅葉の色がとても鮮やかかつグラデーションも綺麗です。

X20 (7.1mm, f/2, 1/105 sec, ISO200)
X20ベルビア2

日没前後のいわゆるゴールデンアワーでの海辺
三脚でちょっと長めに露光してみました。空のグラデーションがとても綺麗です。

X20 (7.1mm, f/8, 2.3 sec, ISO100)
X20ベルビア3

プロビア

プロビアだと少し落ち着いた感じで撮れます。
華やかさこそベルビアより落ち着いていますが、コントラストはしっかりと、色も濃くくっきりと写ります。

有名な宮島の鳥居を撮った一枚
鳥居の朱色、船の赤などは派手さはなく見たままの色をしっかりと写し取れています。
色はとても良く、空や街とのコントラストもとても良く描けていてこれで撮っておけば間違いないという安心感があります。

X20 (16.7mm, f/4.5, 1/800 sec, ISO100)
X20プロビア1

旅先で出会った野良猫との対面
絵の中には一見派手な色はなく比較的地味な一枚のはずですが、茶トラの色と模様がよく出ています。
そしてこの写真、近寄ってくる猫をとっさに撮った一枚なのですがピント精度もとても良くないですか?
更にこの毛並みとひげのシャープ感(広角側でF2.8なので1段絞りですかね)
このカメラの真骨頂を見た気分です。

X20 (7.9mm, f/2.8, 1/300 sec, ISO100)
X20プロビア2

ProNeg.Hi / Std

またこれ以外にもX20世代から新たに導入されたProNeg.Hi/ProNeg.Stdといったモードもあります。
これは実在するフィル名を関していませんがプロ用ネガフィルムを再現したモードです。
名前の通りHiがハイコントラストでStdがスタンダードですが少し彩度が低いです。
上記3つの基本モードがポジフィルムだったので比較的ソフトなアスティアでもくっきりした仕上がりでしたが、こちらはもう少し寒色というかしっとりしています。

プロビアで撮ったのとは別の猫ですがこちらも茶トラ
とてもソフトで優しい描写になるのですが、決してぼやけている感じではなくシャープ感はあります。
似たような猫を撮ったのでモードでの雰囲気や色がよく出ているのではと思います。

X20 (21mm, f/3.2, 1/300 sec, ISO200)
X20 ProNeg.Hi

一般的にはプロビアのほうが使いやすいかなって感じですが、個人的にまちなかスナップの場合ProNeg.Hiを使うことが多いです。(更に何も考えないときは無難なプロビアも使いますが)

もう一個のProNeg.Stdはより色を落とした感じ(プロビアに対するアスティア的?)なのですが、個人的にはちょっと使いづらく作例はありません。

モノクロ

そして富士フイルム機にはモノクロとしてモノクロ、モノクロ(Yフィルター)、モノクロ(Gフィルター)、モノクロ(Rフィルター)、セピアと4つもあります。
(更に最新機種ではフィルムのACROSを模したモード別のモノクロもあって、それに対しても各フィルターモード搭載と力入れまくってる)

モノクロ、セピアは一般的な機能と同様だが、各フィルターとついているものはイエロー、グリーン、レッドのフィルターを被せた状態と同様の状態を再現できる。
一般的にYeフィルターで空を撮ると通常より濃く映るためコントラストのはっきりした写真になります。
またGフィルターはポートレートで肌と唇のコントラストが出ます。
Gフィルターで撮った自分のポートレートがこうなります。(作例として出せるのがセルフポートレートくらいしかないので申し訳ない)

X20 (28.4mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO250)
X20セルフポートレート(Gフィルター)

Rフィルターでスナップして遊んでた時の風景はこちらです。比較写真はありませんが思ったより普通に撮れてますね。
本来は青空のときに撮ると色が濃くなってコントラストがとても強く写るはずですが……

X20 (28.4mm, f/8, 1/420 sec, ISO400)
X20モノクロR

操作感

さて画質と同じくらい大切なのが操作感
いくら画質が良くても使いにくかったら持ち出し頻度が下がりますよね。

レリーズスイッチ

まずシャッター周りですけど一眼レフのようにくびれて前に出たりはしていませんが、おしやすい位置にあり手間取ることはないでしょう。

X20上部

クラシカルなデザインのためレリーズ用のネジが切られているので自分は赤いレリーズボタンをかぶせています。

沈胴ズーム

コンデジとしては特徴的な電源スイッチを兼ねた沈胴ズームレンズ
手動ズームは適度な重さで一眼レフと同じような感覚でズーミングができてとても良い。

ファインダー(OVF)

レンズと並んで特徴的なOVF
今どきのコンデジとしては珍しく光学ファインダーを搭載していてちゃんとズームに連動して、更に一眼レフのように露出値や測距位置が表示されます。
ただしピントが連動しているわけではないので本当にピントが合っているのかはLVの方を見ないとわかりません。
レンジファインダー的な見た目なのに!
それでも液晶見ずに構えたまま大まかな情報がわかるのは大きいし遠景だとそこまでずれることはないかな。
そもそもセンサーサイズ小さいので厳密にピンと合わせる意味もないしスナップメインなので。
ただ一眼レフと同じ感覚とは行かず、特に近景でのフレーミングのズレ、ピント抜けはどうしても発生します。

表示範囲としては実際の画像より一回り狭い範囲しか表示されないのでOVFできっちりフレーミングすると余計なものが意外と写っちゃってるパターン多いですね。
レンジファインダーが範囲外まで表示されるのとは対照的に、どちらかというと表示率低めのレフっぽくもあります。(ただしパララックスあり)

総じてレフのOVFやミラーレスのEVF感覚で使おうと思うと色々と不満が見えてきて液晶LVのほう使いたくなると思いますよ。
ただこの機種はそういった事を考えずに気軽にシャッター押すのが合ってるので、一種の縛りプレイとして使ってあげたほうがいいかな。

各種ダイヤル

露出補正ダイヤルも独立して搭載されており直感的に操作することができます。
±2EVまで1/3単位で調節できるのでスナップ機としては不足なく操作することができるでしょう。

モード切替ダイヤルも一眼レフやミラーレスと同様のダイヤルでP/A/S/Mモード切り替えができるので特に不満なく操作でき、カスタムモードも2つ登録できるのでよく使う機能の切り替えも楽です。

その他ボタン類

シャッターボタン右には好きな機能を割り当てられるFnボタンが搭載されています。
自分はここにフィルムシミュレーション切り替えを割り当てており、ワンボタンでいろいろな色を試すことができます。

背面もミラーレスと同等レベルのボタン類を備えており液晶左側に再生、AE、連写切り替え、WBボタンがあります。
右側はメインダイヤル、AE-L、十字キー兼用サブダイヤル、液晶切り替え、Qボタンがあります。
Qボタンはいわゆるクイックメニューで感度などよく変更する設定を簡単に切り替えることができます。(その他の切り替えは通常メニューから)
一点気になったこととしてはサブダイヤルの回し心地
これはとてもかるすぎて簡単に回しすぎてしまう。特にこのダイヤルはMF時にピント調整に使わなければいけないけどこれが軽すぎて調節しづらい。
この操作感のせいでこのカメラでMF使うことはないな(そもそもOVFでピント見れないからそんなにMF使いたいとは思わないけど)

X30ではレンズ周りにダイヤルが付いたのでだいぶ使いやすくなったと聞くけど、ここは古い機種の欠点かな。

電池持ち

このカメラで一番の不満点です。
電池持ちはあまりよくなく、充電もチャージャーが別に必要なため予備電池は必須ですね。
ちょっとでも持ちをよくするために液晶切ってOVFオンリーにすることがあるけどますます縛りプレイ感が強くなる。
電池は社外品だけど3つほど追加で買ったけど、一日撮ってたら全部消費しちゃうことある。
充電器は純正品はプラグたためなくてとても大きいので、USBで充電できる互換品を買ってバッグに入れている。

その他感想

総評としては書いてる通りとても気に入っている。
そうでないとコンデジを2年(追記:更に公開時点で5年)一眼レフより高い頻度で持ち出さないし。
ただスナップや日常での使用に限定してだけど。
いいことはいっぱい書いたけど、やっぱりオールマイティにこなすには一眼レフには叶わず、高感度然り、そのた操作性で劣っている部分もあり失敗できないときは一眼レフを持っていくな。
センサーサイズが小さくてスナップを撮っていても、比較的絞り開いてとっても(スマホカメラよりマシだが)背景までくっきり写ってしまって、もう少しボケてほしいのにと思うときもある。
またレンズシャッターの制約で絞りを開いたときは高速シャッターが切れない仕様のため、晴天下で絞り開放で背景ボケたポートレート撮ることもできない。
でもこういった制約を考えなくてもいいスナップでこそ真価の生きるカメラだと思う。
そこら編をスナップとして楽しめるかどうかがこのカメラを持つ上での重点だと思います。

適度なズーム、手ぶれ補正、画質がありスナップシューターとして秀でている。
高性能な一眼レフやミラーレスを欲しいと思うことは多々あるけど、それとは別枠でこのカメラは長く使っていきたい。

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